2014年から2015年にかけて、ニュースやブログ記事等で、何度「IoT」という用語を聞いたであろうか。今、IoTに対する注目度が世界中で急激に高まってきている。IT分野の市場調査大手であるガートナーは、日本企業を対象に行った IoT 分野への取り組みについての調査結果を公表し、「IoTにより自社の製品やサービスそのものが変わる」と回答した企業が52.3%に上ることを指摘した。また、2015年に入り、諸外国に遅れをとらないよう経済産業省が国をあげてIoTを支援する対策をまとめるなど、IoTは日本でも他人事ではなくなってきた。
サンフランシスコ市内にてIoTに関するイベントを開催
freshtraxでも昨年からIoTに関する情報を様々な角度から紹介したが、今回はサンフランシスコで注目されている最新のIoTスタートアップ8選を紹介する。なお、今回の記事は4月23日にサンフランシスコ市内で弊社btraxが主催した”The Future of IoT”のイベントに基づく内容である。余談ではあるが、イベントまでにチケットは全て売り切れ。サンフランシスコ市内でもIoTの注目は非常に高いことが伺える。
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1. Sproutling
ー赤ちゃんの足首に付けるウェアラブル・ベビーモニター
https://www.youtube.com/watch?v=slyXHix8hLg&feature=youtu.be
Sproutlingは 2012年にAppleとGoogleの元従業員が小児科医の協力を得て立ち上げたスタートアップ。赤ちゃんの足首などに巻きつけて使うウェアラブルガジェットで、これを付けておくと、専用アプリから赤ちゃんの心拍数や体温、お昼寝をしているのか目覚めているのか、泣いているかなどの様子をいつでもチェックできる。イベントでは同社CEOのChris Bruce氏がパネラーとして参加。2014年時の早期予約価格は$249。
2. Automatic
ー小さなデバイス一つで自動車の状況を診断
Automaticは、2011年に同社 CEOであるThejo Kote氏がUCバークレーの大学院に通いながら立ち上げたスタートアップ企業。手のひらに収まるサイズの小さなデバイスを自動車に接続するだけで、エンジンの調子や、運行区間ごとのガソリン使用量、急ブレーキや急加速、安定したスピードで走行しているかなどを随時モニタリングし、自動で問題をスマホにプッシュ通知してくれる。また、故障や事故などの緊急時にも手助けしてくれる。イベントでは同社CEOのThejo Kote氏がパネラーとして参加。2015年5月時の販売価格は$99.95。
3. FarmX
ースマートで持続可能な農業を実現
Photo by: FarmX
FarmXは2014年に設立され、2015年5月現在ファウンダーである3人で運営しているスタートアップ。彼らのサービスであるFarmMapを使用すると、土壌・作物・水などの農地の状況がリアルタイムでモニタリングされ、それらを上記の写真のようにダッシュボードで確認することができる。また重要事項についてはプッシュ機能でスマホに通知してくれる。このサービスを使用することで、効率的に作物を育てたり水を節約することができる。イベントでは同社CEOのSanjau Rajpoot氏がパネラーとして参加。価格は農地の広さや条件等で異なる。
4. BKON
ー誰でも簡単に手軽に始められる、iBeacon
Photo by: BKON
2013年に設立されたBKON。彼らはユーザーの位置を把握し、適切なクーポンや商品情報などを配信するビーコン製品を提供しているが、魅力はセッティングの簡単さと価格。ウェブサイト上で情報をアップデートしデバイスを取り付けるだけで完了。今までO2Oに興味があったものの、中々始められなかった人々ー特に個人事業主にとっては最適の商品と言えよう。イベントでは同社CEOのRichard Graves氏がパネラーとして参加。2015年5月現在の価格は、気軽に始めることができる$30だ。
5. Helium
ーデベロッパー向けのスマートチップ
Image by:Helium
Heliumは2013年に設立されたスタートアップ。彼らは、Wi-Fi・Bluetooth・3G/4Gなしで接続することができる独自の無線技術を使用したネットワーク、そして信頼性の高いプラットフォーム、そしてそれらをつなぐチップを提供している。Helium Atom(上記写真のチップ)を埋め込むことで、ユーザーは安全性の高いプラットフォームに接続することができ、停電力で情報を送受信することができる。開発の際に大きな課題であった、高額ネットワーク費用を解決するこの商品は、デベロッパーに重宝されるだろう。
6. Switchmate
ー特別な工事なしに、自宅の照明をスマホでON/OFF操作
Switchmateは2014年にパロアルトを拠点に設立されたスタートアップ。既存の照明スイッチに彼らの製品をのせるだけで、スマートフォンから照明のON/OFFが可能になる商品を販売している。インダストリアルデザインは、最小限のライトスイッチボタンのみというシンプルさだが、とてもスタイリッシュだ。2015年5月現在の価格は$49。
7. Looksee
ー何度でもデザイン変更できる、スタイリッシュなブレスレット
2014年に設立されたLookseeは、彼らの初めての製品としてIoTブレスレットを販売。アプリを使用することで、自分で撮影した写真や好きなデザインを選択するなど、ユーザーは何度でもブレスレットのデザインを変更できる。時計、リマインド通知などをデザインの上に表示することができる。10分間の充電で8000回書き換えすることが可能。1時間毎に書き換える場合、1年間バッテリーがもつ計算だ。
8. Sentri
ー1つのデバイスであらゆる自宅の状況を確認、操作
2014年に設立されたSeitri。彼らは、自宅の温度や湿度のモニタリング、カメラで映された室内の状況をスマホで確認、また他社のスマートデバイスとつなぐことで、鍵の解錠/施錠、室内の電気のON/OFFなどのリモート操作をたった一つのデバイスで行うことができる製品を提供している。2015年5月現在の価格は$299。
求められるスピードと自分ごと化
驚くべきことに、今回紹介したスタートアップのうち4社が2014年に、2社が2013年に、2012年と2011年にそれぞれ1社ずつが設立され、サービスを開始している。この状況からも、いかにこのIoTという業界、そしてサンフランシスコのスタートアップが急激に成長を遂げているかがわかるであろう。
IT革命以降、Google,Amazon,Facebookなど米国IT起業はグローバルに展開した一方、日本の企業の多くは国内に留まっている状況だ。
IoTはIT業界だけでなく、自動車、家電、農業、アパレルなどあらゆる業界について可能性がある市場だ。IoT市場を他人事と考えず、自社開発、提携を含め新たなビジネスの創出の可能性を考える必要があるだろう。
参考記事:http://zuuonline.com/archives/58570
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